ADHDでよくみられる症状と、ADHDの国際診断基準(DSM-5)を掲載してみます。
原文そのままだとやや難解なので、分かりやすく一部改変して引用してあります。ちなみに、小児も成人も基本的には同じです。以下の診断基準で診断します。
〈 日常でみられるとされる主な症状 〉
集中力が低下する、集中力が持続できない
注意力が極端に低下する、不注意からのミスをしてしまう
不注意からの事故や怪我が多い、財布や鍵をよくなくしてしまう
話しかけられても周囲からは聞いていないように見えることがある
課題や活動の順序立てが苦手で、持続した努力を要する事を避けてしまう
家計簿などを持続してつけられない、細部まで物事を覚えられない
何かの刺激で注意がそれる、静かに遊んだり余暇が過ごせない
身体がそわそわ動いてしまう、座っているべき場面で動いてしまう
しゃべりすぎる、話の途中で答え始めたり話に急に割り込んでしまう
〈 診断基準(簡略に抜粋改変してあります)〉
A.(1)不注意や(2)多動性/衝動性を認める
(1)不注意(以下の症状が6つ以上、6ヶ月以上継続がある)
a. 学業、仕事などで細部を見逃したり不注意な間違いをする
b. 課題や遊びなどの活動中に注意の持続が困難である
c. 話しかけられても聞いていないようにみえる
d. 指示が理解出来なかったり課題をやり遂げられない
e. 課題や活動の順序立てや、資料の整理が困難である
f. 精神的な努力を要するものを避けたり嫌う傾向がある
g. 学業、仕事、日常生活で必要な物をなくすことが多い
h. 外部からの刺激で気が散りやすい
i. 用事や約束や頼まれ事を忘れやすい
(2)多動性/衝動性(以下の症状が6つ以上、6ヶ月以上継続がある)
a. 手足をそわそわさせたり、着席していても動いてしまう
b. 着席を求められる場面で離席をしてしまう
c. 場面に適切な行動がとれず、落ち着けない
d. 静かに遊びや余暇を過ごすことができない
e. 衝動に突き動かされるように、場面から逸脱してしまう
f. しばしばしゃべりすぎる
g. 質問が終わる前に答え始めてしまう
h. 順番を待つ事が困難である
i. 他人の行動を邪魔したり、割り込んだりする
B.(1)や(2)のいくつかが12歳以前から存在していた
C.(1)や(2)が学校、仕事、家庭など複数の場面で存在する
D. これらの症状が学業的、社会的、職業的に影響を及ぼしている
E. 統合失調症や他の精神障害でこれらの症状が説明できない
コメント
ADHDの診断基準を読んで、多くの人が思うことがあると思います。(1)の不注意関連項目はまだしも、(2)の多動性/衝動性については「より小さい子供ならみんな当てはまってしまうのでは?」と感じると思います。その印象は正しい印象です。子供は「生理的な(正常範囲の)多動や衝動」を皆が持っています。そしてその多くは、成人までに落ち着いていきます。たとえ小児期にADHDと診断を受けたとしてもそれは同じです。多動性は10歳前にはピークを迎え、多くはその後落ち着いていくことが分かってきています。となれば、従来からの「先天的な異常で一生治らない障害」という見方は、やはり今後は変わっていくものだと思っています。ただし(1)の不注意傾向は成人期以降にも残ることが多く、大人の発達障害と呼ばれる範囲では、ADHDのADDが主な治療対象になっていきます。
※ちなみに「衝動」とはある意味「やる気スイッチ」だと思います。本来は人の生きる上での根源的なエネルギーなのだと思います。この社会自体、多くの人の「衝動」の結果によって作り上げられているものではないでしょうか?
(2016.3.7 公開 2018.8.31 更新)
ADHDの主な症状と診断基準に対し「クイズ」を用意しました。「クイズ①」のページをご覧ください。
ヒントや答えはサイト内にあります。一見すると難解な発達障害の諸症状が「ある視点」を持つことで理解しやすくなることを多くの方に知ってほしいためのクイズです。