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突飛な提唱ですが、最後までお読みいただければ幸いです。

注意欠如多動症(ADHD)とは

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注意欠如多動症を略して「ADHD」と呼びます。小児でも成人でも同じです。


ただし、大人の場合は注意力の低下が主な問題になるため、より正確な表現として注意欠如症(略してADD)と呼ばれる場合もあります。多動症状は10歳以前にピークがあり、成人期以降まで問題になる場合は少ないのが現状です。


症状は、まさに「注意力の低下」です(本質はシンプルにこの一点のみです)。大人の場合、多動症状のみのケースはごくわずかであると分かっています。この事実はあまり知られていませんが、これは徐放型メチルフェニデート(商品名コンサータ)という治療薬の治験に関する論文で報告されています。


そういったことも考えれば、大人の場合では、「注意力低下症」や「集中力低下症」でいいのではないかと思います。以前は注意欠陥と呼ばれていました。今では注意欠如です。しかしながら、欠陥や欠如という言葉は、本来、人の心を傷つける言葉だとも思います。


日常生活では忘れ物や怪我が多かったり、財布や鍵や定期券を何回も失くしてしまったり、仕事では大切な約束を忘れてしまったり、忙しくなると注意力が落ちてミスが重なってしまったり、場合によっては「忘れたことすら忘れている」ということもあります。その場合、自分では自覚がないため、周囲から人が離れてしまう場合もあります。自分ではその理由が分からず悩み、自信を失ってしまいます。しかし、指摘されると逆に感情的になってしまったりすることもあると思います。また、詐欺商法などの被害に遭いやすい人にもADDの傾向がある場合は決して少なくないと思います。


ただし、忘れものが多い、イコール診断や治療ではありません。自分で対処できていて、日常生活で自信を失くしていないならば、治療は優先事項ではありません。


しかし、日常的な注意力・集中力の低下で長年悩んでいるならば、治療によって注意力や集中力を改善できる可能性があります。そのことで、失くしてしまった自分の自信を回復できる可能性があります。



ADHD(ADD)には治療薬が二種類あります。徐放型メチルフェニデート(商品名コンサータ)とアトモキセチン(商品名ストラテラ)です(さらに新たにグアンファシン(商品名インチュニブ)という治療薬が小児では使えるようになっています)。これらを適切に用いることで注意力の改善がみられる場合は多いと感じています。アトモキセチンは少量から開始する方が良いと思っています。大人の初期量は40mg/日とされていますが、5〜10mg/日で開始する方が副作用が少なく、また、10−20mg/日でも安定した効果がある場合も多いと感じています。



(2016.2.29 公開 2018.8.31 更新)

成人期でADDの傾向がある場合、現在の医療で指摘されていないことで、将来、重要な事柄として注目されると予測できることが一つあります。

それは、注意力は年齢とともに低下していく点です。

20代30代では注意力はなんとか保てていたものが、加齢とともにそれが低下し、不注意傾向がより顕在化する可能性です。若い頃より仕事のミスが増えたり、怪我が増えたり、認知症に間違われることもあります。

自動車の運転に関してだけ、一点指摘しておきます。

ADDの傾向がある場合、交通事故でも軽い自損事故は何度かしていたものの、大きな事故はなかったからと運転を続けているうちに、あるとき大きな事故を起こしてしまう可能性は決して否定できません。

自分で車をぶつけやすい自覚があれば、私は治療を一度考えてみてもいいと思っています。それは自分が交通加害者になるのを避けるためであり、さらには交通被害者を生まないためでもあると思います。


海外では免許の更新でADHD傾向があるかのスクリーニングの実施が一般的になっている国もあるようです。この点、日本はまだ遅れているのかもしれません。

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