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発達障害を
ユニーク=
ヒューマニティ症候群

呼んでみませんか?

突飛な提唱ですが、最後までお読みいただければ幸いです。

PTSDや複雑性PTSDの症状

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PTSD複雑性PTSDの症状はおおむね共通しています。

主に以下の4つに分類されます。



① 再体験=フラッシュバック(急に起こります)

苦痛なトラウマ記憶が繰り返し想起されてしまう

苦痛なトラウマ記憶に関連した恐怖感を伴う悪夢をみてしまう

苦痛なトラウマ記憶を思い出したあとに心理的な苦痛が続いてしまう

② 回避症状

苦痛なトラウマ記憶やそれに密接に関連する記憶や思考、感情を回避しようとする

苦痛なトラウマ記憶の想起につながる人や場所、会話、物、状況などを回避しようとする


③ 陰性気分(麻痺症状)

苦痛なトラウマ記憶の想起不能

自尊心の低下や他者や社会への信頼感の低下

自分自身や社会に対し非常に強い否定的な気持ちを抱く

恐怖や怒り、罪悪感などの陰性感情が持続してしまう

社会活動に対する関心や意欲が低下してしまう

孤立感、疎外感を強く感じる

猜疑心が強くなってしまう

楽しい体験を持続して楽しめない


④ 過覚醒症状(覚醒亢進や過剰反応)

他者へ対する怒りなどの攻撃的な感情が生じやすい(イライラしやすい)

自己破壊的な感情が生じやすく、時に自己破壊的な行動もしてしまう

過度の警戒心が常にあったり、驚いた場面で過剰な驚愕反応を示す

集中力が低下したり、集中することが困難になることがある

寝つきが悪くなったり、浅い眠りになったり、不眠症状が出る



治療

認知行動療法や暴露療法と呼ばれる精神療法などや、EMDRという装置を用いた治療や、処方による治療があります。いくつかのガイドラインもありますが、治療がまだ十分には確立されていない分野の一つです。


処方に関し少し述べてみます。


トラウマ自体を軽減する目的で抗うつ薬の中でSSRIという種類のものがいくつか用いられています。トラウマが軽減する機序などは未だ明確ではないものの、実際には効果があると思われます。具体的にはフルボキサミンパロキセチンなどのSSRIが処方されます。SSRIは体の痛みに対しても効果があるとされ、トラウマの痛みが体の痛みと同じように感じる仕組みがあるのならば、その理由から効果があるのかもしれません。SSRIは抗うつ薬のため、安易な使用は控えるべきですが、深刻なトラウマに対し有効である場合は多いと思われます。


気分高揚がある場合などに気分安定薬のバルプロ酸が処方される場合がありますが、バルプロ酸自体に慢性頭痛に効果があり、SSRIと同様、トラウマを痛みと捉えるならば、バルプロ酸自体がトラウマの軽減につながる可能性もあり、実際にも効果があると思われます。気分安定の目的では、バルプロ酸以外に炭酸リチウムなども治療に用いられます。

トラウマの軽減に漢方薬が有効な場合があると思われます。芍薬系の漢方薬は痛みに効果があるとされますが、そのためか、芍薬系の漢方薬によってトラウマが軽減される場合は少なくないと感じています。漢方薬の中にはトラウマの軽減に効果のあるものが多数あると思われます。今後、この分野での臨床報告は増えると思っています。


ここでは痛みに着目した処方を中心に紹介しましたが、PTSD症状や前述のADHDやASDも含め、その多様な症状に対して効果の見込める処方薬や漢方薬が他にも存在すると思われます。これらの分野の診断や治療自体がまだ発展途上です。今後、治療法を含め、様々な発見がなされていくのだと思っています。


脳の画像診断技術の進歩から、体の傷の痛みと、心の傷の痛みを、実は脳のとても近い部分で同じように感じとっている可能性が論文で報告されています。また、心の痛みに対する治療にオピオイド(麻薬性の鎮痛物質)が有効とする「オピオイド仮説」も一部で提唱されています。精神科の外来で経験することとして、外来患者さんに何か病気が見つかって全身麻酔を伴う手術をした場合、退院してから後、精神症状が軽減している場合を少なからず経験します。また、私は麻酔科医の経験がありますが、その後に精神科に転向してから、外来で手術によるトラウマの訴えで外来を受診された患者さんを経験したことがなく、ある時それに気が付いてから不思議に思っていました。これは私の外来経験がまだ浅いからなのかもしれませんが、単にそれが理由ではないとも思います。それは、通常の手術麻酔では麻薬性の鎮痛物質を投与するため、このことがトラウマを生じさせない要因として可能性があるのかもしれないと思うからです。さらには、究極のトラウマ治療として、全身麻酔下でのオピオイド投与をすることは、倫理面や安全面での問題はありますが、もしかしたら一番有効なトラウマ治療なのかもしれないと思っています。



(2016.3.30 公開 2018.8.30 更新)

PTSD症状からの二つの指摘をしたいと思います。


① PTSD症状があると考えられたらトラウマ体験がないか想起するべき

PTSD症状があればトラウマ体験がないかを考えるべきと思います(さらには愛着障害も)。トラウマ体験があることで診断が可能になり、そのことはより適切な治療につながります。


② PTSD症状と関連した誤診例

トラウマによるPTSD症状を知っていることで、より適切な診断につながる場合は多いと思っています。

・抑うつ気分や不眠など→うつ病(誤診)

 → 他にPTSD症状があれば診断はPTSDによる陰性気分、過覚醒症状

・攻撃的性格や他者への不信→境界型人格障害(誤診)

 → 他にPTSD症状があれば診断はPTSDによる過覚醒症状、陰性気分

・集中力の低下や物事の回避→ADHD(誤診)

 → 他にPTSD症状があれば診断はPTSDによる過覚醒症状、回避症状

など。

ただし、上記で誤診とは書きましたが、症状に対する治療は概ねPTSD症状と似ているため、症状が良くなる場合も多く、この点でも、一般精神科臨床は、すでにPTSDの治療に介入しているのだと思います。改めてPTSDの視点を持てば、例えばうつ病として治療していても治療反応が典型的でない場合などで、さらに別の治療手段を提案できる可能性があるのだと思います。そういった意味で、PTSDの視点を持つことは有用なのだと思っています。

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