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発達障害を
ユニーク=
ヒューマニティ症候群

呼んでみませんか?

突飛な提唱ですが、最後までお読みいただければ幸いです。

過剰診断、過剰治療の問題

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大人の発達障害(大人の神経発達症/大人の神経発達障害)が注目されるようになり、また、治療薬が大人の発達障害に適応が拡大されるようになり、過剰診断のケースや、過剰投薬のケースがみられることが問題になっています。


これは私自身でも常に気をつけなければならないことですが、過剰診断や過剰投与については、適切な診断を丁寧にしていくことで多くの場合で防げると思っています。より広くスクリーニングする視点をもちながら、必要十分な範囲に絞って発達障害の診断と治療をする姿勢を持つべきだと思います。


不安障害の治療で乗り切れれば、あえて発達障害の診断をする必要はないと思います。うつ病の治療で反応が良ければそれで治療を終えていいと思います。不眠症の治療で改善があれば、それのみでいいと思います。少し専門的に言えば、ベースに発達的な特徴があってその二次的な問題として不安障害やうつ病があったとしても、二次的な問題点について十分改善が図れれば、あえてベースにある発達的特徴については触れなくてもいいと考えます。


しかし、繰り返すうつ病であったり、うつ病の治療に反応があまり良くない場合や、長年の治療にも関わらず日常的に不安やパニック症状を抱えながらの生活をしていて、日常生活にも大きな支障があるならば、私個人としては、発達的な診断の可能性を説明し、希望があれば診断と治療を行なっています。


また、統合失調症や認知症などにアトモキセチンを確認行動の軽減目的や鎮静目的で投与するケースも見られるようですが、治療としては不適切な行為になると思われます。特に統合失調症では症状をかなり悪化させるケースがあると思われ、症状悪化があれば速やかにストラテラの投与は中止すべきだと思われます。


適切な診断においてアトモキセチンや徐放型メチルフェニデートを使用した場合、生活の質が向上している人が多数います。これは否めない事実と思われます。アトモキセチンや徐放型メチルフェニデートに対する依存はないようです。徐放型メチルフェニデートでも休薬日をきちんと設けている人が多数です。


これからの時代、発達障害の診断と治療は、精神科医にスタンダードに求められる診療技術になると思います。うつ病の診断や治療と同じように、大人の発達障害を適切に診断、治療出来ることは、社会が精神科医に求める必然の要請になると思います。


精神科で重要な資格である精神保健指定医(厚生労働省の管轄)に指定されるためのケースレポートに発達障害の症例は必須になっていません。この点にも問題があるとも感じています。社会が要請すれば国などの制度も変わり、精神科医そのものも変わっていくと思います。そして、それが多くの人々のためになると思っています。



(2014.11.20 公開 2018.9.6 更新)

発達障害の過剰診断が問題とされることが多くなりましたが、発達障害に関する社会認識がさらに進み、精神科領域での診療技術が進歩すると、今度は、今まで発達障害を見逃していた問題がクローズアップされるかもしれません。


典型的でない統合失調症、典型的でないうつ病、典型的でない躁うつ病、治療が長期にわたっている不安障害やパニック障害など。本来は発達障害が大きな原因だった人々も多くいるはずです。もっと早くに発達障害の視点から治療をしていれば、人生における時間的社会的損失がより少なかった人々も多数いるのだと思います。


医療は万能ではありません。しかし、新しい事実に気がついたならば、正しい方向に進んでいけるはずです。多くの医療者は患者さんの為を考えて働いています。今後の未来において、より正確な診断や治療により、患者さんの辛さが今より減っていくことを望んでいます。

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