発達障害を
ユニーク=
ヒューマニティ症候群と
呼んでみませんか?
突飛な提唱ですが、最後までお読みいただければ幸いです。
自閉スペクトラム(AS)、アスペルガー症候群(AS)の人たち(子どもも大人も)に対して、周囲が出来る事があります。
まず一つ目ですが、非常に感受性が豊かであるため、様々な物事を敏感に感じ取ります。良い事は人の何倍も嬉しく感じ、おいしい物は人の何倍もおいしく感じます。景色に感動する時も、人の何倍も感動できます。その特性がマイナスに働くと、否定されたときに過剰に否定感を抱いてしまいます。だから、基本は否定したり叱ったりしない方が望ましいのです。叩く事は感覚が敏感であることもあわせると二重に辛いことになります。
二つ目ですが、おそらく心の理論がゆっくり成長するのだと思われます。通常は10歳くらいまでに出来上がる心の理論の基礎の構築に、さらに時間がゆっくりかかるのだと思います。だから、年齢に対しては不適切なことをしていても、なかなかそれを理解しにくい特性はあると思います。しかし、より適切な事を覚えたり、周りとは仲良くしたい心を持っています。そこを理解して欲しいと思います。だから、社会認識がゆっくりなんだ、とおおらかに見守って欲しいのです。理解が得られない環境では、出来ない事を突きつけられるたびに自分の殻に閉じこもるようになり、結果としても人とのコミュニケーションが苦手になり、周囲からすると変わった人になってしまうのだと思います。アスペルガー的な素因が先天的であったとしてもアスペルガー的な大人が出来上がるのは社会との反応からだと思っています。
三つ目は、興味を持てる適切な方向性を示すことで、それに対しては一生懸命頑張ります。成功体験が自信につながります。また、周囲がして欲しい事を示し、それをしてくれたら、心から褒めてあげてください。褒めすぎることはありません。嬉しい感情はすべて成功体験と自信につながり、また何かをしたい前向きな気持ちを生むでしょう。信頼と安心が積み重なる事で、ストレスに対する耐性もついていきます。より社会に対して前向きに進む事ができます。そういう「対話」を通して、社会認識を一つ一つ身につけることで、先天的な素因としてのアスペルガー的要素があったとしても、アスペルガー的な部分が目立たないか、ほとんど問題にならない大人になれる可能性はあると思っています。
「先天的な脳障害であり一生治らないもの」という考えは、いつからそうなったのでしょうか。人は一生発達すると思います。アスペルガー症候群の人が、心の理論の成長がゆっくりであったり、社会認識の習得がゆっくりであったとしても、大人になってからも成長していきます。特性からの教育現場や家庭での対応技術だけでなく、大人になっても「一生成長する」という視点を持ち、その支援をしていく考えを新たに持つべきだと考えています。
私は、自閉スペクトラム症の人々のコミュニケーションスキルや社会性は、大人になってからも成長するものだと臨床を通して感じています。実際に心理検査でIQが大幅に伸びる人もいます。その点からも「大人の発達障害」は、良くなる可能性を多く秘めていると思っています。
(2014.12.14 公開 2015.12.17 更新)
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