更新情報

発達障害を
ユニーク=
ヒューマニティ症候群

呼んでみませんか?

突飛な提唱ですが、最後までお読みいただければ幸いです。

Blog【 適応障害 と 過剰適応 】

Blog

「適応障害」とは何でしょうか? 


簡単に言うと「学校や職場などに行きたくても行けない状態」のことを言います。行きたくても辛くて行けない、そういう状態だと思ってください。


重要なことで一つ指摘しておきたいことがあります。それは、必ずしも、適応=善ではない、ということです。つまり、不適応=自分が一方的に悪いのではない、ということです。だから、適応障害と診断されても、自分だけが悪いと思ったり、自分を責め過ぎないようにしてください。



ちょっと分かりにくいので具体例を挙げます。


例えば「ブラック企業」なら、適応できないことの方が正常な思考や反応とも言えます。相手の方が悪いのに、自分側が被害を被る場合も社会では沢山あります。



そこまで極端ではなくても、適応障害の場合、大抵はその原因となる「ストレス」があります。学校なら勉強の辛さであったり、友達関係や時に先生に原因があったり。厳しすぎる親の教育方針が原因であることもあると思います。職場なら、仕事のプレッシャー、上司、周囲の同僚からの軋轢など。


症状は様々です。

学校なら行き渋り、体調不良、不登校などになるかもしれません。職場でも、行きたくない気持ちが強く出たり、行きたくても職場に行けなくなったりします。さらに、眠れない、食欲がない、やる気が出ない、といった「うつ状態」になることもあります。小さな子では情緒不安定になっておねしょをしたり、大きい子では指しゃぶりや反抗的態度もみられます。



誰でも適応障害になる可能性はあります。ストレスを受けて、それへの正常な反応とも言えます。通常は、ストレスの元を解消(そのものを取り除く、もしくはストレス源から離れる)すると改善します。しかし、発達的特徴から適応障害になりやすかったり、繰り返す場合もあります。適応障害はよく見られるものではあるものの、その素因、原因など、本人の為にも見極めが必要です。辛さの原因が単純な物なのか、それよりもっと考察が必要なのか、十分な検討がケースごとに必要だと思います。




kujyaku.jpg

「過剰適応」とは何でしょうか?


これも簡単に言えば「環境に合わせて我慢や無理をしすぎること」です。もともと人は皆が環境に合わせて生きています。それが過剰になって「辛く」なっている状態です。



我慢を強いられる状況は、実は身の周りに多く存在します。


社会の規則に自分を合わせる、友達と仲良くしようと務めすぎる、いい人を演じる。親に褒められようと勉強や仕事を頑張りすぎる、期待に応えようと頑張りすぎる。自分を出すと嫌われる、嫌われるのは怖い、だったら我慢する、自分は二の次にする。アルコールやギャンブルや信仰への依存症の親が家庭内で感情的になるのを我慢してやり過ごす。親に正当な主張やお願いが出来ずに自分を抑圧する、いい子を演じて自分が我慢すればいいと思う。


過剰適応しやすい人は、責任感が強い人や、とても真面目な人が多いと思います。職場や社会でいい人を演じすぎることから、最近は「いい人症候群」という言葉もあるみたいです



我慢しすぎる、人に合わせすぎる

つい相手の言葉や意向に合わせてしまう

自分が意見をもっていいなんて思えなかった

親の行動が嫌、親に本当のことが言えない

いい子を演じる、寂しさを我慢している

自分の衝動に抵抗することの辛さ



実は、過剰適応の問題は、適応障害より複雑です。

故に、まとまったが概念や診断、治療が確立していません。


常に、

① 社会環境側に無理があるのか

② 自分に環境に合わせる力が不足しているのか

その2つの面からの検討が必要です。


また、自分を抑え続けることは「軽度の虐待」を自分に強いている状態とも言えるのではないかと考えています。その結果、二次的な発達障害とも言える状態になる可能性がないとは言えないと思っています。


○○療法で「発達障害が治った」という言葉も聞きます(大抵は疑似的な医療においてですが)。しかし、すっかり治るくらい改善する場合は、実際の治療場面でも多々あります。それは、愛着障害や過剰適応からの軽度な「二次的な発達障害的状態」の場合が多いのだと思われます。


根源にある不安や、自分に知らずに課していた抑制がカウンセリングなどで改善される場合があります。しかし、すべての人が同じように改善する訳ではないため、過剰な宣伝は不適切だと思います。(※ 擬似的な心理カウンセリング講座などが巷に溢れています。よくよく注意するようにして欲しいと思います)



これは私的な仮説です。

発達的特徴が強く出ている人は、日常的に社会生活での適応に辛さを持っていると推測します。それは適応障害や過剰適応とも言える状態で日常を過ごしているとも言えるのかもしれません。無理に自分を社会に合わせ過ぎた状態、つまり「過剰適応の状態で日々を過ごしている」のかもしれません。それが「生き辛さ」「生きにくさ」「違和感」「孤立感」「自然になりたい」「自然に溶け込みたい」という気持ちによって表現されるのかもしれません。


治療によって「辛さ」が緩和される場合は増えています。大人の発達障害の治療は、日々変わっています。日常的な辛さを我慢せず、「もしかしたら治療でよくなる場合があるかもしれない」と、一度そう考えてみてもいいと思います。


誤解を恐れず言えば、発達障害は、

「一般日常社会への適応障害や過剰適応の状態」

ともいえるのかもしれません。


しかし、そうであるならば、周囲の環境を調節し、自分の辛さを減らす方法があると思います。辛い状態を変えていく手段や社会環境が、以前より整ってきています。社会の理解も進んでいます。治療手段も進歩しています。適応へのお手伝いが出来る環境が日々整ってきていると思います。


一つ「心の健康」をチェックしてみましょう。
① 自分はこう思う

② 自分はこうしたい

それを様々な社会生活場面で素直に言えるかどうか。

これは、簡単な「心の健康度チェック」です。


自分を出せば、時には嫌われたり反発されます。

しかし、時には嫌われる勇気も必要です。

すべての人と100%仲良しはできません。

如何ですか、自分は周囲に合わせ過ぎていないでしょうか?


「自分は○○だと思う」

「自分は○○したい」


わがままでなく、日常の様々な場面で素直にそういうことが言える人は幸せなのだと思います。それに、適応障害や過剰適応の問題が少ないように思います。


満たされてなければ、自信が持てません。「誰かが言っているから」とか「誰かがこう考えてるからいいと思う」になってしまいます。そこには、自信のなさがつきまとってしまいます。


誰かに嫌われることをあまり怖がる必要はありません。少しずつでもいいと思います。自分を抑え過ぎず、少し自分の抑制を解いてみませんか? 自分らしく生きることに、少しでも、ほんの少しでも近づいていければ、幸せなことなのだと思っています。


※ 改めて「嫌われることを恐れない」というテーマでブログを書きたいと思っています。



(2015.3.8 公開 2016.1.27 更新)

Blog