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突飛な提唱ですが、最後までお読みいただければ幸いです。

Blog【 奇跡と毒と免疫力と 】

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ちょっと長目の記事です。


私は、

通常医療(日本では国民皆保険制度での保険診療+自由診療:医療法などに基づく)

補完医療(通常医療に含まれる漢方や、国家資格による各種療法など)

疑似医療(根拠や結果に曖昧なものが多く、患者さんのためと言うより主宰者側の理論主張が強い)

の三つを区別すべきだと思います。


疑似医療では収益性が優先されることもあり、

「効果」より「高価」

である場合が多いのは周知の事実だと思います。

また、なぜか通常医療を否定的に捉えたり、時に感情的拒否もします。


人は皆が健康になる権利を持っていると思います。

しかし、健康になるために頼ったところに問題があると、むしろ不利益を被ることがあります。きちんとした情報や議論が必要なはずです。より適切な情報が増えれば、不適切なものは減ると思います。


ただし、通常医療が人々の不安に十分応えていない問題も根底にあるのだと思います(3分診療など)。また通常医療への不信は、薬品メーカーと医療界の癒着にも原因があります。医師が薬剤メーカーから利益をもらう構造は大きな問題です。薬剤メーカーから医師への謝礼等は、結局、薬剤費に上乗せされます。それは国民の負担です。今後、医療界は国民への説明義務を果たしていかなければならないと思います。また、私を含めた医療従事者は、信頼を得られるための一層の努力をする必要があるのだと思います。


しかし、だからこそ、疑似的なものが世には存在するのだと言えるのかもしれません。通常医療が本当に人の心に届く医療であり、公正なものであれば、疑似医療は必要ないはずです。実は大きな社会問題なのかもしれません。


それでも「疑似的なものはあくまで疑似的なもの」だと思います。

時に人に不幸な結果をもたらします。

疑似医療について、私なりの「見分け方」を述べてみたいと思います。



三つのキーワードがあると思います。それは、

「奇跡」と「毒」と「免疫力」

です。この三つの言葉は、疑似的な医療などで良く出てきます。

これらの言葉の使用頻度と、その「疑似度」には相関があるように思われます。

ある団体やその主宰者の精神的健全度や社会的健全度を判断するのにも役立つと思います。


「奇跡」

効果宣伝で「奇跡」という言葉が頻発します。

「奇跡」なんて滅多に起こるものではありません。

その「奇跡」が起こった回数が多すぎると思いませんか?

「奇跡」という言葉の多用は、論理の飛躍や、判断の未熟性があると思います。

大人には、思慮深く、冷静な判断や行動が常に求められると思います。


「毒」

「毒」という言葉も多用されます。

身体の「毒」を出す、悪い「毒の気」を出す。

体から「毒素」を排出する食品や活性水や「ありがたい水」。

体から「毒」が出て、自然本来の力が出て病気が治る、など。

電磁波なども体へ「有害」と言い「毒」と同様な扱いもされます。

ステロイド薬も「毒」と言われたり、通常の医薬品を「毒」という場合もあります。

また食品添加物を「毒」と一括りに言ったりもします。

何でも悪そうなものを一括して「毒」とか「身体に悪い」と言います。

これは大人にしては単純な「二元論」とも言えます。

ここにも判断の未熟性があると思われます。

多元論で物事を論じるのが本当の大人の議論、判断だと思います。


「免疫力」

「免疫力」という言葉は実は正式な医学用語ではありません

「免疫」という言葉は医学用語ですが、免疫力と言う言葉は医学の教科書のどこにも書いてありません。

また医学関係の論文などで用いられている場合もないと思われます。

むしろ、医師や研究者が正式な文書に免疫力という言葉を使ったら、医学の理解度を疑われると思います。

故に、免疫力という言葉を使っている場合、実は免疫学を理解していない、と捉えることも出来ます。

誤解を恐れず言えば「女子力」みたいな言葉で、世の中で広まっている、現代特有の疑似医学用語とも言えます。

とくに疑似医療では安易な多用、誇張が多いと思われます。

免疫力が上がり「癌も治る」「難病も治る」「アトピーも治る」

また、「自然」というキーワードも組み合わせで良く出てきます。

「自然な食品を食べると免疫力が上がり病気にもならない」

と言って、割高(時にかなり高価な)な自然食品を売ったりしています。

もっともらしい言い方ですが、よく考えてみれば、非常に曖昧な表現なんだと思います。

自然な食品、身体にいい食品、身体の免疫力を活性化させる水、など。

非常に曖昧な言葉であり、人の心を惑わす言葉なんだと思います。

疑似医療の直接的な被害

結局、謳い文句ほどの健康効果のないものを買い続けたりするための経済的被害(高価なものが多い)。

本当に人の健康を思い遣り、親切で売っているとは思えない値段設定だと思いますが、如何に思いますか?

そして一番重要なことは、健康効果がないから実は被害が起きないのです。その本質に気がつくべきです。

毒にも薬にもならないレベルのものを、誇張して売ったり行なうのが疑似医療の本質の一つです。

ただし、将来の健康被害が心配されるものも中にはあります。件の乳児運動で頸椎などに影響は出るのか。

また、放射性物質が降りそそいで未除染の地域の水を採取し御神水や自然水として販売している場合もあります。

これは体内被曝の危険性があるのですが、その水自体は「ありがたい水」として販売されています。

実際には体内にそれこそ「毒」を取り入れる行為なのですが、疑似医療や疑似信仰で信じてしまっていると飲んでしまいます。震災後も継続して飲用してしまっている場合もみられ、放射性ストロンチウムがもし含まれていれば、それはなかなか体から排泄されません。今後もしかしたら健康被害の問題が生じるかもしれません。これは東日本エリアで関連する保健所や水道局などの担当当局は、国民の健康被害を減らす観点から実体を調査すべき事柄だと思います。


疑似医療の間接的な被害

あまりに通常医療を否定する団体などの考えに染まりすぎると、通常医療にかからなくなることがあります。

自分自身だけならまだいいのですが、子どもや家族を医療に受診させない医療ネグレクトもあります。

子どもに与えるべき栄養や、定期接種のワクチンを子どもに受けさせない場合もあると思われます。

※ 子どもの定期ワクチンは義務から努力義務に変更されています。しかし任意ではありません。

医療ネグレクトの事件で有名な事件(過去のミイラ事件など)もあります。


様々な「疑似医療」が巷には溢れています。個々のものの判別は、実際には難しいのが事実です。

それでも、「奇跡」と「毒」と「免疫力」の三つのキーワードが揃っているなら、即、

「スリーアウト チェンジ」

でいいと思います。あえてそれを選ぶ理由はないと思います。


去年の8月には、活性化を謳う水で、

「癌細胞を押さえ込む、かゆみや痛みに効く(グレーな表現)」

と宣伝して薬事法違反で書類送検された事件もありました。

その水は、まだ販売されています。


人は目に見えないものや曖昧なもの、超常的な奇跡的なものに弱い面があります。

人の不安は、それらの「ブラックボックス」に吸い込まれやすいのだと思います。

また、実は人は思考を放棄したい傾向を常に内在しています。

自分で考えるより他人に決めて欲しい気持ちを持っています。

「良い」と言われれば、無条件に信じてしまう。

これは、人が常に気をつけるべき「悪い癖」とも言えます。

常に考え、安易に決めず、周りに流されないようにしないといけないと思います。

「人は易きに流れる」

この言葉は、肝に命じる必要があると思います。


癌が治る「奇跡」の水、食品など。

身体の「毒」が出るありがたい水。

「免疫力」が上がり病気や先天障害が治る水、運動、食品。

最近では「発達障害が治る」ものなども出てきています。


臆面もなくこれらを語ることは、適正な大人の判断と言えるのでしょうか?

冷静に考えれば、常識や良識からの逸脱があると思います。

それに、実はものすごい「KYの一種」なのだと思います。

嘘やKYなことも、臆面もなく堂々と言われると、人は信じてしまうこともあります。

疑似医療などはその典型なのかもしれません。

疑似医療には「大人の嘘」が非常に多いと感じています。



更に、三つのキーワード以外にも疑似医療などでよく見られる「特徴」にも言及しておきます。それは、

「断言」「誇張」「命令形や上から目線」

です。


●「断言」の例

必ず良くなる、癌が治る、アトピーが治る、等と断定的に表現します。

●「誇張」の例

本当にすごい、とにかくすごい、これは本物、ここの先生は本物だから、人類を救う、等

●「命令形や上から目線」の例

今すぐ○○はやめてください。本当に体に悪いんです。やめないと絶対に後悔します。

これはあなたのためを思って言っているんです。すぐ○○をはじめて下さい。

みんな騙されてます。真実は隠されています。皆さんは本当のことを知らないのです。等


これらも疑似的なものでの特徴です。疑似医療などを調べてみれば、これらの言葉などのオンパレードのはずです。一度ネットなどで調べてみるといいと思います。また、出版物に「自費出版が多い」のも特徴の一つです。

※ ちなみにこの「特徴」は売れるキャッチコピーの基礎でもありますので悪用しないようにしてください。

※ 政治でも悪用(?)されることもあり、良識的な政治より、これらの基礎さえ押さえれば長期政権も可能です。


最後に、あと一つ、

「既存の権威への便乗」

も特徴です。


●「既存の権威への便乗」の例

伝統ある○○から伝わった云々

有名な学者の○○の説によっている

有名が芸能人の○○も使っている

※ これは、その疑似医療やその主宰者自身に権威などの裏付けがないことからのカモフラージュの為です。



如何でしょうか?

疑似的なものを疑似と見抜くことは、騙されないためにも必要だと思います。

これを書いていて「開運法」のブログを思い出しました。

結局、似ているんだと思います。


大切な事実。

本物では、これらの言葉やフレーズはほとんど出てきません。

そういった見方を、今後持ってもらえれば、みなさんの人生に少しでも資するものと思います。


現代医療には限界があります。治せない病気はまだたくさんあります。

しかし、その不安に付け入る行為は、卑劣だといつも感じます。

かつて激しかった、癌の人にアガリクスを高価で売る商売もそうです。

何百万円も使っていた患者さんをみていて、とても切なく、口惜しく感じました。

治りたい、そういう切実な心につけ込むことは、いつ見ても許せません。

みなさんは、どう思われるでしょうか?


正当な医療や補完医療と、何でも治すと言う様な疑似医療は、やはり明確に区別していくべきだと思っています。



この記事は「ワクチン」です。

ワクチンとは、病気にならなくても、その病気の情報を危険のないようにして取り込み、本当の病気に対する免疫を得るものを言います。この記事を読んで、疑似医療の被害に遭わないで済めば、この記事がワクチンの役割を果たしたことになります。


ここに書いたことなどを参考にして、疑似的な医療などへの「免疫を獲得」して欲しいと思います。

ちなみに、これは免疫という言葉の正しい使い方の一つです。


何回も被害にあったりする場合、自分の「注意力」や「判断力」を見直してみましょう。自分の将来のためには大切なことだと思います。より適切なものを選べる目を養うことが大切だと思っています。



(2015.4.2 公開 2015.7.6 更新)

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