発達障害を
ユニーク=
ヒューマニティ症候群と
呼んでみませんか?
突飛な提唱ですが、最後までお読みいただければ幸いです。
漫才ネタの作者が新しいネタを作ってくれました。場面は小学校の休み時間、そこで繰り広げられる友達同士の「鬼ごっこ」の熱き戦いです。それを「サッカーの実況生中継風」にしたネタです。サッカーの試合が生中継される状況を思い浮かべながら、ノンストップでお楽しみください。
さあ、鬼と逃走者の勝負の時間がやってまいりました! 舞台は小学校の休み時間。いやあ「鬼ごっこ」というものはいつの時代にも欠かせない、時代を超えて愛される究極の遊びです。さあ、試合開始です! 鬼は10秒数える。10、9、8、7、6、5、4、3、2、1、0! カウントゼロとなったと同時に、鬼と逃走者の絶対負けられない戦いが始まりました! 今回の鬼は佐藤カケル君です。スピード、瞬発力、察知能力、この三つを兼ね備えた素晴らしい鬼です! 逃走者にとっては史上最強の敵と言えるでしょう。競技者としては、もはや、こんな鬼に追いかけられることは、むしろ幸せだと思わなければなりません! ああっと、早くもカケル君、逃走者の小林シゲル君を猛烈に追いかけています。シゲル君も速い! 時速100kmは出ているでしょう! しかーし、鬼のカケル君はそれを上回る時速110kmで追いかける! とても小学生とは思えません! 逃走者のシゲル君はあっという間に捕まってしまいました。シゲル君も俊足ですが、「光速」のカケル君の素晴らしい一撃が見事に決まった形です。さあ、今度はシゲル君が鬼です。逃走者の心得としては、いくら自分の足が速くても、常に鬼を警戒しなければなりません。先ほど時速110kmの光速を出した佐藤カケル君も、決して油断してはなりません! 10秒のハンデののちに鬼ごっこは再開されます。さあ! その10秒がたった! 今鬼のシゲル君の周りには誰もいません。このシゲル君、実は「気」を察知する能力に優れるという、ドラゴンボールZに出てくるキャラクターにありがちな特殊な能力を持っています。ああっ! 誰かがシゲル君に追いかけられている。誰だ、あ、タカフミ君です。鈴木タカフミ君です! どんどんその距離は縮まってます! 背後から迫るシゲル君、そして逃げるタカフミ君。追いつくかと思うと再び距離を広げてタカフミ君が逃げます。これは見ごたえがあります! これぞ鬼ごっごの醍醐味と言っていいでしょう。時間はすでに1分以上経過しています。この戦いは、すでにサッカーで例えたら、スペイン伝統の一戦「クラシコ」に匹敵すると言っても過言ではないでしょう! 1分以上この戦いを繰り広げられる彼らを素晴らしく思います。しかーし! ここで勝ったのはシゲル君。タカフミ君も頑張りましたが、シゲル君の粘り勝ちの形になりました。さあ、今度の鬼はタカフミ君です。10秒数える。たったの10秒! しかし、この10秒がとても長く感じられるのは私だけでしょうか! いかに彼らの戦いが素晴らしいか。これだけの戦いを我々に見せてくれている彼らに感謝しなければなりません。これほど素晴らしい戦いを私は見たことがない! これを実況出来る私は本当に幸せです。世界一の幸せ者と言わざるを得ません! さあ、試合は再開しています。タカフミ君は鬼ごっこではとても役に立つ「油断している逃走者を一瞬で見つける」という特殊な能力を持っています。そんなタカフミ君が狙いをつけたのはー、あ、ヒロシ君です。小山ヒロシ君です! ヒロシ君の特徴は名前がありふれていることだけです! なんと言うことか、この素晴らしい戦いにふさわしくない人物が入り込んでいました。力の差は圧倒的です。あっという間に捕まってしまいました。今度はそのヒロシ君が鬼です。しかし、これは痛い! なぜ鬼ごっこに誘ってしまったのか! サッカーで言えば、イレブンの中にただのサポーターが混じっていたのと同じです。あれだけ白熱していた戦いがここにきて一気にやる気がなくなったのが皆の顔から分かります! 10秒はとっくに過ぎましたが、あのすばらしい戦いはどこへ行った! サッカーで言えば8点リードされたくらいのやる気のなさ! ヒロシ君! とにかく走れ! 歩いていたんじゃ誰も捕まえられない! いや、しかし、それでも、ヒロシ君は自分なりに頑張っているようです。ヒロシ君にできるのは「抜き足差し足忍び足」だけだと分かっているようです。身の丈を知っています。そんなヒロシ君が太田ミチオ君に目をつけました。いけません! ミチオ君はゴム飛びで遊んでいる女の子グループに目が行っています。一瞬広がったやる気のなさから、ミチオ君は鬼ごっこでしてはならない「油断」をしてしまいました! ヒロシ君はそのミチオ君にすかさずタッチ! ヒロシ君もそれなりの覚悟で戦いに参加していたようです。ここはヒロシ君の頭脳プレーと言っていいでしょう。先ほどは戦いにふさわしくない人物などと言ってしまいましたが、私こそ分かっていませんでした。鬼ごっこは運動神経が良ければいいというものではないことを改めてヒロシ君に教えられました。この場を借りてお詫びしたいと思います。ヒロシ君情報によりますと、成績はあまり良くないようです。テストの点もクラス最下位グループにいるようです。捕まったミチオ君も、ヒロシ君がここまでやるとは考えなかったようですが、それこそまさしく「油断」というものでしょう。人生何があるか分かりません! さあ、油断したミチオ君ですが、10秒数えてみたら、あーっと! 目の前に鬼だったヒロシ君がいるではありませんか! これはいけません。せっかく頭脳プレーで逃走者を捕まえたのに、すぐに逃げなければまた捕まってしまいます。しかし、ミチオ君、ヒロシ君を捕まえる気配はありません。どうしたことでしょう。ヒロシ君もようやく気が付いて、歩いて逃げますが、それでも捕まえようと思えばすぐに捕まる距離にいる。それなのに、ミチオ君はヒロシ君の先にいる竹田コウタ君に狙いをつけたようです! おっと、ここでミチオ君情報が入りました。情報によりますと、ミチオ君の特徴は「とても優しい」と書いてあります。ミチオ君は目の前にいる簡単に捕まえられるヒロシ君を狙わず、遠くにいる逃走者に狙いを定めました! これはアタックチャンスで言ったら角のパネルを取らないに等しい行為です。ミチオ君はヒロシ君に手を出さなかった! なんて優しい小学生なんだ! 神様仏様この人は死んでも絶対に天国に導いてください。彼はまだ小学生なので随分先のことだと思いますが、天界はこの行為を目に焼き付けておくべきでしょう! さあ、中継は鬼ごっこに戻します。ああっと、 ここで休み時間終了のチャイムが鳴っている!! しかし、ここは小学生、彼らはまだ鬼ごっこを続けています。サッカーで言ったらロスタイムに入ったと言っていいでしょう! 私は優しいミチオ君がこのまま鬼で終わることにどうしても納得がいきません! 狙いを定めたコウタ君がなかなか捕まらない。しかし、最後まで何が起こるか分からないのが鬼ごっこ! なんと授業に戻ろうとして油断していた2番目に鬼をした俊足のシゲル君にミチオ君がタッチをし、そこで試合終了!! 最後の最後でミチオ君はシゲル君に鬼をなすりつけましたが、なすりつけられたシゲル君はなぜか嬉しそうにしています。これは仲良しの友達と全力で遊べた幸せを感じているのかもしれません。お互い全力で逃げていたのが、試合が終わればむしろ友情の心は近づいていた。人はこうやって成長していくのかもしれません。これからも、鬼ごっこ以上に彼らの友情を示していって欲しいと思います。実況は私○○○○でした。またの機会にお会いしましょう。
(2016.2.1 公開)
ネタは全くのオリジナルで、何かを参考にした訳ではないとのことでした。場面設定、ユニークな視点、私はとても面白いと思いました。今年の初めての診察時に披露してくれました。
私は、彼の「お笑いで人を幸せにしたい」という願いが、この先の未来に叶うことを願っています。すでに、私は彼のネタで笑わせてもらって、その日は一日幸せな気分で過ごせました。笑いだけでなく、優しさも含まれたネタだと感じました。皆さんはどう感じましたでしょうか?
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